扁桃体ハイジャック

SIY

この記事では、Googleが開発した人材育成プログラム SIY (サーチ・インサイド・ユアセルフ)で学ぶ「扁桃体ハイジャック」について説明します。エモーショナル・インテリジェンスの要素、「自己管理」関する知識です。

感情に振り回されている時に頭の中で何がおこっているのか、どのように対処すればよいか、という疑問に答えます。

扁桃体ハイジャックとは

怒りや恐怖に襲われて、理性を失ってしまったことはありませんか? その時、あなたの頭の中では、「扁桃体ハイジャック」が起きています。

「扁桃体ハイジャック」とは、ダニエル・ゴールドマン博士がその著書「EQ 心の知能指数」で提唱した考え方です。1)「EQ こころの知能指数」ダニエル・ゴールドマン2)https://en.wikipedia.org/wiki/Amygdala_hijack

扁桃体は、脳の奥深くにあるアーモンドのような形をした神経細胞の集まりで、左右に1個ずつ、合計2個あります。人の恐怖や怒りといった感情の働きに関係しています。

視覚などの感覚情報は、まず、脳の視床と呼ばれる場所に送られ、そこから、扁桃体と大脳新皮質に送られます。

扁桃体、大脳新皮質、視床

扁桃体では、送られてきた情報を過去の記憶と照合し、送られた情報から「重大な脅威があるかどうか」を判断します。

もし、「重大な脅威がある」と判断したら、扁桃体自身を急激に活性化して激しい感情を起こすとともに、ストレス・ホルモンを体中に送るように司令を出します。その結果、身体全体が「戦うか、逃げるか」モードに移行します。

戦うか逃げるかモード (Fight or flight mode) の特徴

  • 心臓:心拍数を早くして、体中に血を送り、これから起こる激しい運動に備える。
  • 瞳孔:相手がよく見えるように瞳孔が開く。
  • 手:戦いや逃走に備えて、手のひらに汗をかく。

扁桃体(感情的な脳)は、大脳新皮質(理性的な脳)よりも速く情報を処理するので、理性が働く前に、脳全体をハイジャックし、理性的な思考を抑制します。

ゴールドマン博士によると、この仕組みのおかげで私達は、直面する危機にすぐ対処することができるそうです。ゆっくり考えている余裕がない場合、たとえば、食うか食われるかのような場面でも、感情的な脳のプロセスは、超高速で情報を処理します。

扁桃体ハイジャックの特徴は、次のとおりです。

  • 強い感情的な反応
  • 反応が急激に現れること
  • 理性が働かないこと(感情的な反応が不適切な場合は、事後になってから不適切さが認識される)

扁桃体ハイジャックの仕組みのおかげで、私達の祖先は自然の中での弱肉強食の世界を生き延びることができたのです。生き残りのための大切な仕組みですね。

扁桃体ハイジャックは、森の中でトラに出会ったときに起こるだけではなくて、人に批判された時にも起こります。

人間は社会的な動物です。グループを作ることによって生き残るという進化を遂げてきました。グループの中の地位が脅かされるようなことがあると、生存の危機を感じて、扁桃体ハイジャックを起こしてしまうのです。大昔、扁桃体ハイジャックを起こさないような人は、エサを他のメンバーに取られて、子孫を残せなかったことでしょう。

ところが、現代の社会では、扁桃体ハイジャックを起こして感情的に行動すると、失敗してしまうことが多いです。

例えば、次のようなケースです。

  • 車に乗っていて、割り込みされたら腹が立ったので、相手を殴ってしまった。
  • 会社の会議で批判されて腹が立ったので、大声で怒鳴ってしまった。

扁桃体ハイジャックが起きてしまったら

扁桃体ハイジャックが起きてしまったら、理性が働いていないので、とんでもない失敗をしてしまうかもしれません。

心にもない暴言を吐いたり、相手を傷つけたりして、取り返しがつかないことになってしまうかもしれません。

もし、自分が扁桃体ハイジャックを起こしていることに気がついたら、まず、やっていることを中止します。呼吸に意識を向けて、心を落ち着けてから、状況を把握し、次の行動を起こすかどうかを決めましょう。

身近な人が扁桃体ハイジャックを起こしていたら、収まるのを待ってから話しかけるのがよいでしょう。

扁桃体ハイジャックを起こしたときの対処方法について、以下の記事もご参照ください。

扁桃体ハイジャックを起こさないためには

カリフォルニア大学のフィリップ・ゴールディン博士によると、人間の脳には、脅威に直面しても、感情を抑制する機能があるそうです。3)https://youtu.be/5wpHvbZCDa0?t=1164

脅威を感じた時に、感情的な脳から理性的な脳に、脅威に関する信号が送られます。理性的な脳では、その脅威を評価して、必要に応じて、扁桃体の感情的な反応を抑制します。

マインドフルネスを続けることによって、この感情的な脳と理性的な脳のつながりが強くなります。その結果、扁桃体ハイジャックが起こりにくい脳になります。

ゴールディン博士によると、人の持つ言語能力も、感情の抑制に効果があるそうです。怒りや不安の感情にラベルを貼って認識することで、理性的な脳の活動が促され、感情を抑制しやすくなります。

まとめ

  • 自分の生命や社会的な地位への脅威を感じた時、感情が脳のリソースを支配する「扁桃体ハイジャック」が起こります。現代社会では、失敗の原因になることが多いです。
  • 対処の方法として、理性が戻るまでやろうとしていることや言おうとしていることを一旦中止するということをお勧めします。
  • マインドフルネスの実践を続けると、対処がやりやすくなります。

Google で開発された人材育成プログラム SIY(サーチ・インサイドユアセルフ)は、

  • エモーショナル・インテリジェンスによる理論
  • 脳科学による裏付け
  • マインドフルネスによる実践

に基づいて、参加者のエモーショナル・インテリジェンスの5つの要素を育成します。

  • 自己認識
  • 自己管理
  • モチベーション
  • 共感力
  • リーダーシップ

これによって、個人レベル、および組織レベルのリーダーシップ・生産性・幸福を向上します。

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