この記事では、書籍「サーチ・インサイド・ユアセルフ」の内容を解説します。
Google で開発された人材開発プログラム SIY (サーチ・インサイド・ユアセルフ)の内容を知りたい方にとって有益な情報です。
「サーチ・インサイド・ユアセルフ」とは
「サーチ・インサイド・ユアセルフ」は、その頭文字をとってSIY とも呼ばれます。
グーグルの元エンジニア、チャディー・メン・タン氏が、グーグル社内のエンジニアの生産性向上のために開発した2日間の研修プログラムです。
その研修プログラムの内容は、とてもユニークなもので、エモーショナルインテリジェンス(”感情に関する知性”,”EQ”とも呼ばれる)と、それを裏付ける最新の脳科学の知見、さらに、エモーショナルインテリジェンスを習得するための実践方法として、マインドフルネス瞑想を組み合わせたものです。
この書籍「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(Search Inside Yourself) は、この2日間の研修内容をわかりやすい書籍にしたものです。チャディー・メン・タン氏の茶目っ気がたっぷり盛り込まれていて、とても読みやすくてためになる本だと思います。
エモーショナルインテリジェンス
エモーショナルインテリジェンスとは、自分や他人の感情を理解して、これを行動の指針とする能力のことです。EQと呼ばれることもあります。知能(IQ) とは異なる能力です。エモーショナルインテリジェンスが高い人は、リーダーシップに優れ、生産性が高く、心の健康を保つことができるとされています。
サーチ・インサイド・ユアセルフでは、エモーショナルインテリジェンスを高めることによって、参加者のリーダーシップ、パフォーマンス、幸せ(心の健康)を向上することを目指します。
エモーショナルインテリジェンスについては、次の5つの要素を学びます。
- 自己認識
- 自己統制
- モチベーション
- 共感力
- リーダーシップ
これらのエモーショナルインテリジェンスの共通の基盤、実践の方法として、マインドフルネスを最初に学びます。
マインドフルネス
マインドフルネスとは、「今、ここ」で起きていることに注意を向けるということです。自分の呼吸に注意を向けること、それから、自分の思考や感情に気がつくことによって、エモーショナルインテリジェンスの入り口である、「自己認識」を深めることができます。
マインドフルネスは、日常の生活でも実践することができますが、毎日時間を決めて、マインドフルネス瞑想を実践することが勧められます。
自己認識
マインドフルネス瞑想を通じて自分の内面を高精細度で観察すると、自分の強みや弱み、大切なこと、直感などが把握できるようになります。これが自己認識です。自分の感情を客観的に観察することができると、「私は怒っている」から「私は体に怒りを感じている」という視点のシフトが起こります。
自己認識を高めるための練習として、マインドフルネス瞑想の他、ボディスキャンやジャーナリングの実践方法が紹介されます。
自己管理
自分の感情、特に怒りの感情をうまく管理するための能力です。
感情の引き金が引かれたときには、理性が働かなくなっているので、まず、やっていることをストップする、という怒りへの対処を学びます。ネガティブな感情がいつまでも続く場合は、これを受容するという方法も学びます。そのために、自分に対する思いやり(セルフコンパッション)を学びます。
モチベーション
モチベーションを自ら作り出して、これを継続するための3つのステップをエモーショナルインテリジェンスの観点から学びます。
- 仕事と自分の価値観をうまく一致させる
- 自分が成功している未来をありありと想像する
- 失敗したときのための回復力を身につける
共感力
共感力は、チーム内の「心理的な安全性」を引き上げ、生産性を向上するために重要なスキルです。相手との共通点を見つけ、優しい気持ちを送ることを習慣とすることによって、自分の中に共感力を育てていきます。
リーダーシップ
ここでいうリーダーシップは、周りに影響力を及ぼして仕事を先に勧めていく能力のことで、リーダーのポジションにある人だけでなく、チームのすべての人に必要な能力です。リーダーシップのスキルとして、次の2つを学びます。
- 相手の感情を尊重しつつ、難しい会話をこなしていく能力
- チーム内で困難を抱えている人に、思いやりをもって対応する能力
まとめ
書籍「サーチ・インサイド・ユアセルフ」を読むことによって、SIYの内容を網羅的に理解することができます。
「サーチ・インサイド・ユアセルフ」は、エモーショナルインテリジェンスの自己認識、自己管理、モチベーション、共感力、リーダーシップの各要素をマインドフルネスというツールを使って学ぶものです。
マインドフルネス・イニシアティブが運営するエモーショナル・インテリジェンス講座については、下のリンクをご参照ください。
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