人間はアルゴリズムだ

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人工知能ウィリアムのセリフ

先日、ネットフリックスで、「アナザーライフ」というSFドラマを見ました。

第1シーズンのあらすじは、こんな感じです。

宇宙から巨大な人工物が地球に到達します。異星人が送ってきたようなのですが、その意図がわかりません。この人工物からは、ある星に向けて電波が送られています。そこで、地球からその星に宇宙船を送り込んで、宇宙人に接触してみようとします。

ここまでのところ、映画「2001年宇宙の旅」と話の筋は似ているでしょうか。

映画「2001年宇宙の旅」では、HAL9000という名前の人工知能が宇宙船の運行を管理していました。このドラマ「アナザーライフ」でも、ウィリアムという名前の人工知能が登場します。

人工知能のウィリアムは、映画「2001年宇宙の旅」のHAL9000よりもさらに進んでいて、三次元画像で人の姿をしています。人の記憶を読み取って、様々な人の姿や音声、感情をシュミレーションすることもできます。

このドラマのある場面で、人工知能のウィリアムは、宇宙船の乗組員から、

「おまえはプログラムで書かれたアルゴリズムだ。」

と罵られます。

これに対してウィリアムはその乗組員にこう言い返します。

「あなたも進化の過程で作られたアルゴリズムです。」

ドラマのこの部分について、私はとても面白いと思いました。

ユヴァル・ノア・ハラリ博士の著書「ホモ・デウス」でも、「人間はアルゴリズムだ。」と書かれていました。これと同じ趣旨ですね。

以下、この件で自分が考えたことを書きます。

「人間はアルゴリズム」とはどういうことか?

人間は、「遺伝子を残す」ということに最適化したアルゴリズムです。このアルゴリズムは、進化の過程で磨かれてきたものです。

進化の仕組みは単純で、こんな感じです。

  1. 遺伝子はランダムな突然変異を起こす。
  2. 子孫を残すことに成功した個体の遺伝子のみが子孫に受け継がれる。
  3. これを繰り返すうちに環境に最適化した遺伝子が残る。

この結果、個々の人間には、次のようなアルゴリズムが備わりました。

  • 遺伝子を次世代に残せるように、一定期間、生き残る。
  • 遺伝子を次世代に残す行動を取る。
  • 死ぬ。

これをもう少し詳しく書くと、次のとおりです。

  • 怒り、喜び、悲しみ、孤独、希望など、様々な感情が人間にあるのは、全部、自分が生き残り、子孫を残すのに役に立つからです。これらの感情が意思決定に直接影響を与えています。感情はアルゴリズムの一部です。
  • 「私には自由意志があり、アルゴリズムで意思が決まっているのではない。」と私達は思いがちですが、これも、「自由意志があると思い込んでいる方が、自信を持って話せるし、仲間から信頼を得やすい。したがって、子孫を残すのに都合がよい。」からです。
  • 自分の遺伝子を残すためには、「自分の子供を作る」のが最も効率がよいので、恋愛感情や性欲がアルゴリズムに組み込まれています。ただし、かならずしも、自分自身の子供を作らないと遺伝子を残せないわけではありません。自分の子供だと自分の遺伝子の 50% をそのまま残すことが出来ますが、兄弟姉妹の子供にも自分の遺伝子が 25% 含まれています。 もともと人間だったらほとんどの遺伝子を共通しています。すべての地球上の生き物も、遺伝子を一部共有しているのです。
  • 「人が死ぬ」のは、いつまでも生きていると、遺伝子を残すことに有害だからです。食べ物などのリソースは限られているので、新しい世代で遺伝子を残していくには、役割を終えた古い世代は死んだほうが望ましいのです。「人が死ぬ」というアルゴリズムは、感情などではなくて、細胞自体に組み込まれています。死にたくない、と思ってもいずれ死んでしまうように出来ています。

「人はアルゴリズムだ。」という考え方は、仏教の教えにある「自分などというものは実在しない。(無我)」の現代的な解釈だと思います。

私達は、「自分は不変である」、「自分が自分を所有している」、「自分が自分の意思決定の主である」と思い込んでいますが、自分の存在も、行動も、心の中で起こっていることも、すべて、アルゴリズムによって決まった現象なのです。

死の恐怖の克服

マインドフルネスの実践を通じて、「人はアルゴリズムだ。」という考えが腑に落ちれば、死の恐怖を克服できるのではないか、と期待しています。

実は、これが私がマインドフルネス瞑想を続けている本当の理由です。


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