「人体、なんでそうなった?」

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最近、ネイサン・レンツ博士著「人体、なんでそうなった?」という本を読みました。

人間の体は、とても精巧にできているように見えますが、進化の歴史の都合で、さまざまな不具合があります。この本は、そのような人体の不都合なデザインを面白おかしく語ります。例えば、

  • 無駄な骨がたくさんあること
  • 必要な栄養素を体内で作れないこと
  • DNAに役に立たない情報が多く書き込まれていること
  • 生殖活動が他の動物と比べて不効率なこと
  • アレルギーの問題を抱えていること

私が最も興味を持ったのは、人間の脳の不具合です。

博士によると、人間の脳は高度な能力を持っていて、最新のコンピュータでもできないようなことをこなしますが、現代社会で暮らしていくのに、不具合なことがあるといいます。

博士が指摘する脳の不具合の例、次のとおりです。

  • 目の錯覚により騙されやすい。
  • 政治的な方針や社会的な方針に関して、示されているデータに関わりなく、変化に強く抵抗する。(確証バイアス)
  • 記憶は、しばしば都合に合わせて書き換えられている。
  • 賭け事で負けを取り返そうとする。値下がりした株を手放せない。(サンク・コストの錯誤)
  • XX%割引という言葉に弱い。価格のトリックに引っかかりやすい。
  • データよりもストーリーを信用する。例えば、宝くじを買ってしまう。
  • (若者の男性は特に)自分の強さをアピールするためにとんでもない危険を冒す。例えば、ドラッグに手を出して仲間に自慢する。

博士によると、その不具合が起こった主な原因は、現代人が暮らしている生活とは全く異なる環境で人間の脳が発達したからだそうです。

・・・ヒトの身体と脳はここ1万2千年のあいだ、たいして変わっていないのだ。だからある意味、僕たちは現在の生活に適応していない。僕たちは更新世の生活に適応している。

「人体、なんでそうなった?」 ネイサン・レンツ著

更新世は、約260万年前に始まり1万2千年前に終わった地質時代で、農業が始まる前の時代です。私達の祖先は、小集団で狩りや採集をしながら移動生活をしていました。

進化はゆっくりと起こるので、過去1万2千年の間、人間の身体や脳はほとんど変わりませんでした。

ところが、1万2千年の間に、人間の住む環境は激変しました。現代社会の生活は便利ですが、脳や身体は、適応していないので、様々なストレスが生じます。

このように、人間の進化の歴史や、身体や脳が現代社会に適応していないことによる不都合、そこから生じるストレスを理解することは、マインドフルネスを実践する上で、とても役に立つと思いました。

マインドフルネスとは、「今、ここ」で起こっていることに気がついている状態のことです。特に、ネガティブな感情に囚えられている時に、そのことに気がついて、心を冷静に保つ時に役に立ちます。

進化や現代社会についての知識は、自分がどのような枠にはめられているのか、一歩引いて、自分を観察するのに役に立つと思います。


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