この記事は、Google が開発した人材育成プログラム、SIY (サーチ・インサイド・ユアセルフ)で学ぶ「エモーショナル・インテリジェンス」についての質問に答えるものです。
エモーショナル・インテリジェンスについて、疑問を持つ方に役に立つ情報です。
「エモーショナル・インテリジェンス」とは、EQとも呼ばれますが、簡単にいうと、「自分や周りの人の感情を理解して、行動の指針にする」ということです。
SIY の研修で、次のような質問を受けたことがあります。
「私は、理性によって、最適な選択肢を選んでいる。感情を理解する必要はないのでは?」
これに対する私の答えは、次のとおりです。
「それでうまくいっているのであれば、問題ないです。将来、うまくいかないことがあったら、感情の要素を考慮に入れてみるといいでしょう。」
人が関わらない問題 vs. 人が関わる問題
私も、以前、この質問者と同じような考え方を持っていたので、この質問者の気持ちはよくわかります。こんな感じです。
- 全ての問題には、最適な解がある。理性的によく考えれば最適な選択肢が見つかるはずだ。
- 感情を考慮に入れると、最適な選択肢を選ぶことができなくなってしまう。
- だから、感情は考慮に入れる必要はない。
これは、人が関わらない問題、たとえば数学の問題を解いているときには当てはまるかもしれません。ところが、相手がいる場合には、どうしても、相手の感情を考慮に入れる必要が出てきます。
たとえば、「上司を説得するためには、どうすればよいか?」という問題を考えてみましょう。
どんな言い方をするのか、何を言うのか、誰が言うのか、によって上司の感情は影響を受けて、上司は説得されたり、されなかったりすることでしょう。 上司の感情を理解することは、問題を解決するために、重要な要素になってきます。
「感情で物事を決めるのは、悪い上司だ。」という見方もあるかもしれませんが、これが現実です。実際、私達人間は、感情の力を使って物事を決めています。
エモーショナル・インテリジェンスの研究者、ダニエル・ゴールドマン博士も、その著書で、「自分に関する事柄を決めるうえで、感情が決定的な役割を果たしている」と言っています。1)「EQ 心の知能指数」ダニエル・ゴールドマン著 p104
自分の行動を決めているものは何か
それから、仮に課題が「数学の問題を解く」というようなことであっても、その作業に関わっているのは、自分、すなわち人間です。当然、様々な感情の影響を受けています。
感情の影響を受けた結果、やる気を出して問題が早く解るかもしれません。あるいは、やる気をなくして時間がかかってしまったり、結局解けなかったりするかもしれません。
自分がどんな感情を持っているか、それが自分のやる気にどのような影響を与えているかを理解することは、モチベーションに関わっているのです。だから、問題解決の重要な要素です。
感情的に物事を決めてしまっているときは、大抵、感情にとらわれていることに気がついていないものです。自分の感情を理解することは、感情にとらわれないためにも必要です。
つまずかないとわからない
ただし、私の経験から言うと、「私はいつも最適な選択肢を理性の力で選んでいる。」ということを言うような人は、このような事情がわからないことが多いです。人に説かれてもわかりません。私もそうでした。
そのような人は、無意識のうちに感情を認識して対処しているのかもしれません。その場合は、感情を意識的に考慮に入れる必要がないのかもしれません。
いずれにしても、人はつまずいたときに学ぶものです。たとえば、
- 理性的に判断してやっているのに、失敗してしまった。
- 正しいことを言っているのに、部下がついてこない。
- 適切に仕事をこなしているはずなのにパフォーマンスが上がらない。
といったときは、エモーショナル・インテリジェンスを学ぶ良い機会です。
そこで、 「私はいつも最適な選択肢を理性の力で選んでいる。」 という人には、このように言ってあげるようにしています。
「それでうまくいっているのであれば、問題ないです。将来、うまく行かないことがあったら、感情の要素を考慮に入れてみるといいでしょう。」
Google で開発された人材育成プログラム SIY(サーチ・インサイドユアセルフ)は、
- エモーショナル・インテリジェンスによる理論
- 脳科学による裏付け
- マインドフルネスによる実践
に基づいて、参加者のエモーショナル・インテリジェンスの5つの要素を育成します。
- 自己認識
- 自己管理
- モチベーション
- 共感力
- リーダーシップ
これによって、個人レベル、および組織レベルのリーダーシップ・生産性・幸福を向上します。
SIY の企業での導入に関しては、まず、1時間程度の無料のパイロットプログラムをお試しください。詳細は下のリンクをご参照下さい。
出典
コメント