G-LWGX0D5F1Z マインドフルネス認知療法(MBCT) とは

マインドフルネス認知療法(MBCT) とは

MBCTマインドフルネス

マインドフルネス認知療法(MBCT: Mindfulness Based Cognitive Therapy)は、再発性うつ病への介入を目的として、MBSR(マインドフルネスストレス低減法)と認知行動療法(CBT: Cognitive Behavioral Therapy)を組み合わせて開発された8週間のプログラムです。マインドフルネスの実践を取り入れているという特徴があります。

ここでは、マインドフルネス認知療法(MBCT)の概要と、MBSR(マインドフルネスストレス低減法)との違いを説明します。

マインドフルネス認知療法(MBCT)の概要

開発の経緯

1991年、オックスフード大学に在籍していたジョン・ティーズデイル (John Teasdale) 博士は、フィリップ・バーナード (Phillip Barnard) 博士とともに、ICSモデル (Interactive Cognitive Subsystems) という認知モデルを提唱しました。

この認知モデルによると、人の心にはいくつかのモードがあり、その主なものに doing のモードと being のモードがあります。

doing のモードは、自分の欲求と現実が異なるときに顕在化し、目標を達成するために活動するモードです。being のモードは、ゴールの達成より現在の状況をそのまま受け入れようとするモードです。

ICSモデルにおける健康な心とは、心のモードをその時の状況に応じて、柔軟に変えることができる心の状態のことをいいます。認知療法では、being のモードへの移行を促進することが、感情を安定させるために必要であるとされます。

ICSモデルのもう一つの重要な概念に、メタ認知能力、すなわち、認知していることを認知する能力、があります。

このメタ認知能力を持つ人は、ネガティブな考えや感情が起こっても、心の中で起こっている「現象」として、自分自身と切り離すことができます。また、困難な状況でもネガティブな思考パターンに陥るのを意識的に避けることができ、うつになりにくいという特徴があります。

このメタ認知能力は、自己中心的な考えから、脱中心化(decentering) していくことで得られます。

ティーズデイル博士は、being モードへの移行を促進するためには、脱中心化を通じたメタ認知能力の向上が重要であると考え、この手段として、マインドフルネス認知療法(MBCT)を開発しました。

トロント大学のツインデル・シーガル (Zindel Segal) 博士と、オックスフォード大学のマーク・ウィリアムズ (Mark Williams) 博士も、ティーズデイル博士とともに、MBCTの開発にかかわりました。開発にあたって、ジョン・カバットジン(Jon Kabat-Zinn) 博士がマサチューセッツ大学で先に開発していたMBSR (マインドフルネスストレス低減法)を参考にしました。

プログラムの内容

MBCTプログラムの主な特徴は次のとおりです。

  • 8週間をかけて、マインドフルネスを実践する練習をします。
  • グループでの学習が重視され、8週間の間、毎週、2時間のクラスが実施されます。
  • 第5週と第6週の間に終日のクラスがあります。プログラムへの参加期間中、自宅で毎日、音声ガイダンスの録音を使った瞑想を行います。
  • プログラムを通じて、自分の意志で「今、ここ」で起こっていることに対して、あるがままに、注意を向けることを学びます。参加者は、特定の考えや感情に固執するのは、無意味で不健康であることを認識していきます。
  • MBCTは、再発性うつ病への介入を目的としています。

プログラム全体を通じて、参加者は、ネガティブな考えが起こってくることをそのまま受け入れることと、それを上手に対応する方法を学びます。さらに、参加者はネガティブな考えや感情を脱中心化して、次第に自分から切り離すこと、さらに、自動的な思考パターンから意識的な対処へ移行することを学びます。

効果の検証

これまでに行われた研究によると、MBCTは、3回以上のうつ症状を過去に発症した人に最も大きな効果があるとのことです。2016年に行われた複数の文献の比較調査によると、うつ症状の再発を防ぐ効果があるとされています。

MBSR(マインドフルネスストレス低減法)との違い

MBCTは、MBSRをもとにして開発されているので、MBSRとほぼ同じ形式で提供されます。その共通していいる部分は次のとおりです。

  • 8週間のコース。
  • グループ学習。
  • 期間中、毎週、2-3時間のクラスがある。また、途中で1回、終日クラス(一日リトリート)がある。さらに、毎日、自宅で1時間程度の自習が求められる。
  • 実際の体験や、他の参加者との対話を通じて学習することが重視される。
  • ボディスキャン、食べる瞑想、ヨガ、座る瞑想、歩く瞑想など各種マインドフルネス瞑想を通じて、「今、ここ」の身体や心の状態を観察することを学ぶ。

MBCTのみに見られる独自な要素は、次のとおりです。

  • コースの目的を再発性うつ病への介入に特化している。
  • コースのはじめの方で、自分の落ち込んだ気分やネガティブな考えに注目する。
  • コースを通じて、自分のネガティブな考えの癖や症状の理解、その対応方法を学んでいく。

出典:https://en.wikipedia.org/wiki/Mindfulness-based_cognitive_therapy

この記事を書いた人
しげき

1963年生まれ。大阪市出身。京都大学法学部卒。KDDIやマイクロソフトなど、30年以上、IT業界で営業・マーケティングを担当した。
2007年からマインドフルネス瞑想を継続して実践する。
2018年にセミリタイアし、マインドフルネスの講師となる。MBSR 認定講師。

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