孤独を感じている高齢者は、そうでない高齢者と比べると炎症を起こしやすく、病気にかかる率や死亡率が高いということがこれまでの各種調査からわかっています。
この記事では、高齢者が MBSR (マインドフルネスストレス低減法) を受講したときに、孤独を感じる程度や、炎症の起こしやすさにどのような影響があるかを調べた興味深い実験をご紹介します。
この実験は、2007-2008年に Brian Behav Immun 博士らによって行われました。
実験の方法
アメリカ・ロサンジェルスに住む健康な55歳から85歳までの男女、40人を新聞広告で集めました。この40人を次の2つのグループに分けます。
- MBSR グループ:MBSR の8週間のコースに参加する。
- 待機リストグループ:MBSR の待機リストに掲載されるが、実験の期間中には参加しない。
MBSR グループが8週間のコースに参加する前と後、すべての参加者について、次の計測を行います。
- マインドフルネスのスキルについての自己診断テスト
- 孤独についての自己診断テスト
- 炎症の起こしやすさのテスト(血液サンプルによる遺伝子発現プロファイリングおよび炎症誘発性タンパク質分析)
実験の結果
MBSR を受講した人は、そうでない人と比べて、孤独を感じる度合いが大きく減少していました。また、炎症の起こしやすさも低くなっていました。
この実験からわかること
Brian Behav Immun 博士は、この実験の結果、MBSR(マインドフルネスストレス低減法)が高齢者の孤独感をへらすのに効果がある、と結論づけています。
また、MBSR を受講することによって、炎症の起こしやすさを低下させる効果があるという可能性を指摘しています。別の研究で、孤独を感じている高齢者は炎症を起こしやすい傾向があることがわかっているので、MBSR の受講が孤独を感じる高齢者の健康にもよい影響を与えるのではないか、と示唆しています。
自分のことを考えてみても、人は、年をとるにつれて、家族や友達との関係もだんだんと薄れて、孤独になっていくものではないか、と思います。
MBSR(マインドフルネスストレス低減法)で学ぶマインドフルネス瞑想は、過去や将来のことあれこれ悩む代わりに、「今、ここ」で起こっていることに意識を向けるということを練習します。
その結果、孤独感、見栄、欲望、怒りなどの感情に囚われている自分を客観視し、「今、ここ」で起こっている美しいものや楽しいことに気がつくことが多くなります。やがて、自分や周りの人の病気や死も、心静かに受け入れることができるかもしれません。
孤独を感じている高齢者にこそ、MBSR(マインドフルネスストレス低減法)の受講をおすすめします。
MBSR(マインドフルネスストレス低減法)のコースの参加方法は下のリンクをご参照ください。

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