G-LWGX0D5F1Z マインドフルリスニング

マインドフルリスニング

mindful-listeningMBSR

この記事では、MBSR(マインドフルネスストレス低減法)で学ぶ「マインドフルリスニング」について解説します。

マインドフルリスニングは、マインドフルネスの実践方法の一つで、家族や職場での人間関係を改善するのにとても役立ちます。

マインドフルリスニングとは

マインドフルリスニングとは、マインドフルに相手の話していることを聴く、ということです。「マインドフル」とは、「マインドフルネス」と意味が同じで、「今、ここ」に意識を向けているということです。

つまり、マインドフルリスニングは、今、相手がここで話していることのみにすべての意識を向けるということを意味します。

all-ears

私たちは、普段、人の話を聞いているときに、その話を聞きながらいろいろなことを考えています。たとえば、 こんな感じです。

  • 「自分はこの説に賛成できないな」
  • 「この話は、最後、どんな結論になるのかな」
  • 「この話が終わったら、自分は何と答えようか」

話の内容とは全く別のことを考えていることもあります。たとえば、

  • 「この後、どんな予定だったかな」
  • 「昨日のあの件は、今思い出しても腹が立つ」
  • 「そういえば、今頃、あの人は何をしているかな」
daydreaming

マインドフルリスニングでは、このようなことは考えずに、今、相手が話している内容にすべての意識を向けます。

カウンセリングのスキルで「傾聴」がありますが、これとマインドフルリスニングは、やっていることはほぼ同じです。

傾聴とマインドフルリスニングの違いは、その意図だと思います。

傾聴は、相手をカンセリングしたりガイダンスしたりするためにやることなので、相手の話をもっと引き出し、関係を築くという意図があります。マインドフルリスニングは、自分自身のマインドフルネスの実践のためにやることです。相手の話をありのままに理解しようすること以外のどのような意図も脇において、相手の話に意識を集中します。

マインドフルリスニングの効果

自分の意識のすべてを、相手が話していることに向けることによって、相手の話の内容だけでなくて、相手の気持ち、やりたいこと、置かれた環境など、様々なことが伝わってきます。それにより深く相手のことを理解できるようになり、相手に対する共感が呼び起こされます。

また、こちらが相手の話に意識を向けているということは、相手にすぐに伝わります。

相手の人は嬉しい気持ちになるでしょう。自分の話を、価値判断を加えることなく、ありのままに聞いてもらえるからです。誰かに話を聞いてもらいたいという欲求が満たされたことに、感謝の気持ちを抱くかもしれません。相手が話を理解できなかったとしても、真剣に話を聞いてくれること自体が嬉しいのです。

このように、マインドフルリスニングをするだけで、大抵の場合、その相手との関係は改善します。必ずしも、こちらから自分のことを話したり、何かを約束したりする必要はありません。相手の話に同意することすら、必要ではありません。

人間関係が良好な人は、意識的に、あるいは無意識に、マインドフルリスニングを実践しています。

マインドフルリスニングができない人、つまり、いつも「うわの空」で人の話を聞いている人にとって、良好な人間関係を作ることは簡単なことではありません。

マインドフルリスニングのやり方

MBSR(マインドフルネスストレス低減法)の8週間のコースでは、しばしば、マインドフルリスニングの練習をします。基本的なやり方は、次のとおりです。

  1. 2人ずつ、あるいは3人ずつ組になります。
  2. 話をする人と話を聞く人を決めます。
  3. 話をする人は、2分間、最近あったこと、気になることを話します。
  4. 話を聞く人は、その間、口をさしはさまず、話を聞くことに集中します。
  5. 話を聞く人は、話が終わった後、自分が聞いたことを、話をした人に伝えます。
  6. 話をした人は、内容があっているか、確認します。
  7. 役割を入れ替えて、同じ練習をします。
conversation

この簡単な練習から、私はとても多くのことを学びました。たとえば、次のようなことです。

  • 人の話に意識を向け続けるのは、難しい。自分はどう判断するか、何かアドバイスがあるか、過去に同じようなことがあったか、などを考え出して、注意が途切れそうになる。
  • 人の話を聞くのはつまらないことだと(私は)考え勝ちだが、真剣に聞いてみると、ユニークで面白いことが多い。
  • 初対面の人と話していても、相手の話を真剣に聞いているだけで、あるいは自分の話を聞いてもらっているだけで、共感を覚える。
  • 相手が自分の話を真剣に聞いているか、そうでないかは、すぐにわかる。
  • 自分の話を真剣に聞いてもらえると、とても救われた気持ち、嬉しい気持ちになる。

この体験をするだけでも、8週間のMBSR(マインドフルネスストレス低減法)のコースに参加する価値はあると思います。

マインドフルリスニングは、日常生活でひそかに練習することもできます。家族や同僚、上司、部下などを相手に試してみましょう。なんのリスクもなく、コストもかけずに、人間関係を改善することができます。

日常生活でのマインドフルリスニングのコツは、次のとおりです。

  • 相手が話をしているときに、相手の話の内容を理解することにすべての意識を向ける。
  • 相槌を打ったり、相手の目を時々見たりということを意識する必要すらない。真剣に話を聞いている時は、その真剣さは自然と伝わる。
  • 話を聞いている間に自分の心の中に何かの考えが浮かんできて、いつのまにか上の空になっていたら、その事に気がついて、意識を相手の話に戻す。
  • 相手の話が終わったら、必要に応じて、「今の話は、xxx ということ?」などと、自分が理解した内容を確認してみる。

まとめ

マインドフルリスニングとは、今、相手がここで話していることのみにすべての意識を向けるという意味で、マインドフルネスの実践方法の一つです。人間関係の改善に役立ちます。

マインドフルリスニングの方法は、MBSR(マインドフルネスストレス低減法)のコースで学ぶことができますが、日常生活でもひそかに練習することができます。

この記事を書いた人
しげき

1963年生まれ。大阪市出身。京都大学法学部卒。KDDIやマイクロソフトなど、30年以上、IT業界で営業・マーケティングを担当した。
2007年からマインドフルネス瞑想を継続して実践する。
2018年にセミリタイアし、マインドフルネスの講師となる。MBSR 認定講師。

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