マインドフルネスとは、「今、ここ」で起こっていることに意識を向けることです。マインドフルネスを高めることによって、ストレスを減らし、日常生活の質を高めることができます。
マインドフルネスを高めるためには、まず、毎日決まった時間にマインドフルネス瞑想を実践することをまずお勧めしますが、日常生活の中でも、マインドフルネスを練習する方法があります。
日常生活をマインドフルに過ごすコツ
日常生活をマインドフルに過ごすコツは、次のとおりです。
- 毎日一人だけでやっている習慣に注目
- 体のどの部分をどのように観察するのか、観察する手順をあらかじめ決めておく
- 自分の心の中で、身体の感覚や心の動きを「実況中継」する
日常生活をマインドフルに過ごす具体例
人によっていろいろな工夫があると思いますが、いくつかの例を以下に記載します。
目が覚めてから起きるまで
私はずぼらな性格で、朝、目がさめてから直ぐに起きることができず、寝床でぐずぐずとしてしまいます。このようなときは次の方法で、股関節を広げるポーズをとって、股関節の感覚を観察します。
- 寝床であおむけになって、両膝を曲げて、左右の膝同士、かかと同士をくっつける。
- 左右の足裏をあわせて、両膝を外側に倒していく。左右の膝がその自重で布団に近づく。
- 股関節がゆっくりと開いていくのを感る。決して無理はしない。
股関節が柔らかくなると、座る瞑想を床に座って実践するときに、背筋が伸びやすくなります。

トイレ
トイレも一人になるので、マインドフルネスの練習をするよい機会です。
ここでは詳しい描写は省きますが、どの感覚を観察するのか、あらかじめ決めておいて、その都度、特定の体の感覚に意識を向けてみるとよいでしょう。
食事
忙しい日常の生活では、時間をかけて食べる瞑想を行うことは難しいですね。
私は、毎朝、朝食時にプレーンヨーグルトを食べる最初の一口だけは、食べる瞑想を行うようにしています。
たとえば、こんな感じです。
1. プレーンヨーグルトが入った器を見る。 | 早く食べたい、といった気持ちを観察。 |
2. 鼻を近づけて匂いをかぐ。 | 頭の中がヨーグルトのことでいっぱいになる様子を観察。 |
3. スプーンを使ってヨーグルトをすくって、口に持ってくる。このときの音を観察する。 | 早く口の中に入れたいという気持ちを観察。 |
4. 口の中に少し入れて、味を観察する。 | プレーンヨーグルトって、こんなに美味しかったんだという考えが浮かんでくるのを観察。 |
5. 口の中でヨーグルトが溶けて、食道を流れていく感覚を観察する。 | もっとたくさん食べたい、という気持ちを観察。 |
誰かと一緒に食事をしているときは、食べる瞑想は難しいです。食事の美味しそうな匂いや、美しい盛り付け、その美味しさなどを話題にすると、少しやりやすくなります。
ただし、誰かと一緒にいるときには、食べる瞑想よりも、人の話を聞くマインドフルリスニングに注意を向けた方がよいでしょう。

歯磨き、入浴
ボーッと考え事をしながら歯磨きをしていると、きちんと磨けていないことがよくあります。歯周病の予防のためにも、歯周ポケットに歯ブラシを軽くあててブラッシングするときの感覚をマインドフルネスの練習のために活用しましょう。
- どの順番に歯を磨くのか、あらかじめ決めておく。
- 歯や歯茎に歯ブラシが当たる感覚、特に歯周ポケットに歯ブラシがあたる感覚を観察する。
同じ要領で、入浴時やシャワーを浴びるときも、マインドフルネスに過ごすことが可能です。

通勤、通学の途中
電車やバスを待つ間、あるいは、階段を上ったり、歩いたりしているとき、特にいつも一人で同じ経路を移動するときは、マインドフルネスに過ごすチャンスです。
- 移動時には、左右の足裏の感覚に意識を向ける。
- 立って待っているときには、足裏の感覚から意識を広げて、呼吸と体全体の感覚を観察する。
周りの様子に十分気を配って、人やものにぶつかったりしないように気をつけましょう。

運動をしているとき
一人で散歩したり、ランニングしたり、水泳をする習慣がある方は、その時間もマインドフルに過ごしてみてはどうでしょうか?
- 散歩やランニングは、歩く瞑想と同様に左右の足裏の感覚を観察するのが分かりやすいです。毎日決まったコースを行くと、よりマインドフルに過ごしやすくなります。
- 水泳は、マインドフルネス瞑想に向いているとは言えないですが、息を吐き出すときに呼吸を観察して泳ぐ瞑想を試してみてもよいでしょう。泳ぐ瞑想よりも、水中を歩く瞑想の方がやりやすくて、お勧めです。
長距離のランニングや水泳の練習は、終わった後は爽快で達成感がありますが、練習中はその単調さに飽きたり、体が辛かったりするものです。
この単調さや辛さは、マインドフルに練習することによって軽減されます。「今、ここ」に意識を向けることによって、これから先の苦しい長い道のりのことをあまり考えなくなるからでしょう。

マインドフルリスニング
これは一人だけでやることではないですが、誰かと話をする時に、マインドフルリスニングをしてみるのもいいでしょう。
人の話にすべての注意を向けて、相手の話の内容、その感情を読み取ります。
「私はそうは思わないな。」とか、「この話にはこのように答えよう。」とか、いつのまにか自分のことを考えていることに気がついたら、もう一度、相手の話に意識を向けます。
まとめ
マインドフルネスを高めるためには、毎日決まった時間にマインドフルネス瞑想を実践することをお勧めしますが、日常生活でもマインドフルネスを実践することが可能です。
毎日の習慣の中で、自分が一人になる時間を探して、あらかじめ決めた方法で体の感覚を観察します。
上に挙げた例の他にも、さまざまな方法があると思います。マインドフルな時間を自分で工夫して、試してみましょう。
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