マインドフルネスとは
マインドフルネスは、「今、ここ」で起こっていることに意識を向けるという意味です。マインドフルネスを高めるための瞑想法が、ストレスを低減し、集中力を向上させる効果があるとされています。このため、グーグルやアップル、インテルなど、世界的な大企業がマインドフルネスを社員教育に取り入れています。
モチベーションは別の形に変わる
私は、マインドフルネス瞑想は、ストレスを低減する効果はある一方で、仕事のモチベーションを下げるのではないか、という疑問を持っていました。
この件で、マインドフルネス瞑想の先生に質問をしたことがあります。先生の答えは、「モチベーションは、別の形に変わっていく。」というものでした。
仕事のモチベーションとしてわかりやすいものに、「大金持ちになりたい」、「上司に叱られるのが怖い」、「あいつにだけは負けたくない」、といった物欲や恐怖、怒りなどの感情があります。マインドフルネス瞑想では、こういうことを自分の心の中でおこっている現象として受け入れ、自分とは切り離すことで、ストレスを減らしていきます。私は、その過程で、これらのモチベーションが失われてしまうのではないか、と思っていました。
確かに、マインドフルネス瞑想を通じて、物欲や恐怖や怒りなどを仕事のモチベーションにすることは少なくなっていくかもしれません。しかし、その代わりに、マインドフルネス瞑想を通じて養われる、「自分へのやさしい気持ち」や「好奇心」が仕事のモチベーションの源泉になるそうです。
つまり、自分にとって大切な仕事や、興味をもって取り組むことができる仕事には、高いモチベーションを持つことができます。このほうがより創造性の高い仕事ができそうですね。
もう一つの心配
マインドフルネスはもともと仏教の瞑想をもとにしています。仏教の瞑想が最終的に目指すものは、「悟り」です。これは、すべての欲望がなくなったことを意味します。そうすると、仕事へのモチベーションもなくなってしまうのではないか、と思いました。
この点についても、マインドフルネス瞑想の先生によると、私たちがマインドフルネス瞑想で「悟り」を開いて、すべての欲望をなくしてしまうということを心配する必要はないそうです。
MBSR(マインドフルネスストレス低減法) のプログラムで目指しているのは、ストレスを減少させるということで、悟りを開くということではありません。この点、仏教の瞑想とは目的が違うといえるでしょう。
私たちの欲望は、長年の進化の中で遺伝子に組み込まれているものです。毎日瞑想したとしても、簡単になくなるものではありません。
まとめ
最近、マインドフルネスが仕事のモチベーションを低下させる可能性がある、という調査結果についてのニュースを見ました。
この調査は、単調な仕事へのモチベーションは、マインドフルネスを実践すると下がる、ただし、生産性は変わらない、というものでした。
確かに、マインドフルネスを学んだ人にとってみれば、自分にとって重要でなく、興味が持てない仕事へは、お金をたくさんもらったとしても、上司に脅されたとしても、モチベーションは上がりにくいかもしれません。
その一方で、マインドフルネスを学んだ人は、自分にとって大切な仕事や、興味を持っている仕事にはより積極的に取り組み、高いパフォーマンスを発揮するのではないでしょうか?
世界的な企業がマインドフルネスを社員研修に導入しているのは、社員に興味をもって創造的な仕事をしてほしい、からだと思います。このような企業では、創造的なイノベーションが成長の源泉になっているからです。
もう1点、マインドフルネスを学んだ人には、モチベーションが下がるようなことが起きても、比較的平静に対処できるというメリットがあります。自分の仕事に興味を持てない人にとっては、こっちのほうが大切ですよね。
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