マインドフルネス瞑想を続けると、脳にどのような影響があるでしょうか?
ここでは、Judson Brewer 博士がイェール大学で行ったDMNに関する研究をご紹介します。
DMN(デフォールト・モード・ネットワーク)とは、脳内のネットワークの一つです。心ここにあらずの状態で、ぼーっと何か考えている時にこのDMNが活性化されています。私達が苦しんだり悩んだりしている時は、大抵、このDMNが働いています。
博士は、 マインドフルネス瞑想を長く実践している人の脳の画像をMRI という装置で調べました。

この実験によると、瞑想経験者の脳は、未経験者と比べて、次のような違いがあるそうです。
- 瞑想実践時にDMN の活動が低下している。
- 瞑想時、非瞑想時の両方で、DMNの活動パターンが異なる。
- セルフ・モニタリングや認知制御に関する脳のネットワークが強くなっている。
博士によると、これらの結果から次のことが推測できるとのことです。
- マインドフルネス瞑想の経験者にとって、DMNの活動に気がつくこと、それから、DMNの活動を変えることが、瞑想の主な「ターゲット」になっていること。
- 瞑想経験者は、瞑想中、心がさまよい出すことが少なく、「今ここ」で起こっていることに集中しやすくなっていること。
- 瞑想経験者は、瞑想していないときでも、瞑想中と同じような心の状態を保つことができること。
- 瞑想経験者は、瞑想していないときでも、セルフ・モニタリングや認知制御といった注意力に関わる能力が強化されていること。

マインドフルネス瞑想は、継続することによって、脳の働きを変える力があるのですね。
マインドフルネス瞑想によって、注意力や集中力が養われるのも、このような事情によるものだと思います。
この実験に参加したのは、12人の瞑想経験者です。10年以上、平均1万時間のマインドフルネス瞑想の経験を持つ人が選ばれています。比較のため、同じ様なバックグラウンドを持つ13人の瞑想未経験者も実験に参加しました。
このように長い瞑想経験を持つ人を集めたのは、はっきりとした結果を出すためで、比較的短い瞑想期間、例えば8週間でも、他の実験から瞑想の効果はある程度見込めるそうです。
Google が開発した従業員育成プログラム「サーチ・インサイド・ユアセルフ」では、マインドフルネス瞑想やエモーショナル・インテリジェンスの効果を、脳科学の観点から説明しています。この研究についても、「サーチ・インサイド・ユアセルフ」で紹介されています。
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