マインドフルネスとは、「今、ここ」で起こっていることに気がつく、ということです。
マインドフルネス瞑想では、「今、ここ」で起こっていることを観察します。たとえば、呼吸や体の感覚、五感を通じて感じること、心で起こっている思考や感情などを観察します。
「今、聞こえている音」を観察するのも、マインドフルネス瞑想の一つです。音は、五感の一つ、聴覚を通じて感じるものですね。
MBSR講師の Bob Stahl は、座る瞑想でよく音を観察している、と言っていました。
私は、座る瞑想で音を観察することもありますが、それよりも、プールで泳ぐときに、音を観察しています。このやり方をここではご紹介します。
音を観察する方法(私のやり方)
私は長距離水泳が趣味で、週に 2-3回、各45分間かけて2km あまりを休まず泳ぎます。泳ぎながら瞑想をします。
その瞑想の対象は、次のとおりです。泳ぐ瞑想についての詳細は、「泳ぐ瞑想」の記事をご参照ください。
最初の10分間 | 呼吸を観察 |
次の10分間 | 体の感覚(特に肩)を観察 |
次の10分間 | 音を観察 |
次の5分間 | 思考を観察 |
次の5分間 | 感情を観察 |
最後の5分間 | 体や心のすべての感覚を観察 |
このように、泳ぎ始めてから20分経過後から10分間、 音の観察をやります。
音に注意を向けてみると、普段は気づかない、いろいろな音が聞こえてきます。
たとえば、
- 水が排水溝などから流れていく音: ずっと聞こえている「さらさら」という背景音。蹴伸び中によく聞こえます。
- 呼吸するときに聞こえる音: 鼻から息を吐くときにブクブクと聞こえます。
- 手が水をかくときに聞こえる音: 水のしぶきを上げる音が、水をかくたびに聞こえます。
- 水流が耳にあたる音: 耳栓に水が当たる音でしょうか。ゴー、という音が聞こえます。
- 耳鳴りの音: 自分には高音域の耳鳴りの症状があり、水泳中も聞こえます。
要領はこんな感じです。
- まず、最初にプールの壁を蹴って、蹴伸びをするときに、「さらさら」という水が流れていく音を聞いて、「これから25メートル、音を観察するのだ」ということを思い出します。
- 水をかいて泳ぎながら、様々な音を観察します。音の出どころのことを考えたりするのではなくて、音そのものの感覚を観察します。たとえば、音の大きさ、高さ、質感、リズム、といったものです。
- 途中で、何らかの思考や感情にとらわれてしまって、音の観察をしていることを忘れてしまいます。たとえば、
- 音の出どころを考えているうちに、そこからいろいろな昔のことを思い出します。
- 他の泳いでいる人が目に入って、負けたくない気持ちが起こってきます。
- このあとの予定をいつの間にか考えています。
- 思考や感情にとらわれていることに気がついたら、優しい気持ちと好奇心を呼び起こして、音の観察に意識を戻していきます。
- コースの端まで来たら、以上を繰り返します。
私は、耳鳴りの音だけはできるだけ無視して、耳鳴り以外の音に注意を向けるようにしています。MBSR 講師の Carolin West も、耳鳴りは無視している、と言っていました。

音を観察する瞑想の利点
分かりやすい
呼吸や体の感覚と比べて、音の感覚は、はっきりしていて分かりやすいと思います。呼吸の感覚や体の感覚はよくわからない、という方も、音に注意を向けるとやりやすいと思います。
幸せを感じる
水泳中にさまざまな音を観察していると、同じ音のようでも、その都度、異なる音であることがわかります。しかも、音は微妙でダイナミックで、実に美しいものです。音の感覚に集中している間は、ストレスに無縁でいられます。
マインドフルネスのトレーニングに向いている
その一方で、音はさまざまな感情や思考を呼び起こします。いつの間にか、音の観察をしていたことを簡単に忘れてしまいます。
感情や思考にとらわれていることに気がついて、優しい気持ちを呼び起こし、音に意識を戻してくる、という過程がマインドフルネスのトレーニングになります。
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