自己管理

自己管理SIY

「自己管理(Self-management)」は、Google が開発した人材開発プログラム SIY (サーチ・インサイド・ユアセルフ)で学ぶエモーショナル・インテリジェンスの要素の一つです。簡単に言うと、自分自身をコントロールするということです。

この記事では、自己管理について説明します。自分の感情、特に怒りの感情をコントロールする方法を学びたい人に、役に立つ情報です。

感情が引き起こす衝動的な行動について

自己管理にはいろいろな定義がありますが、SIY では、「感情が引き起こす衝動に対してどのように対処するか」という観点から自己管理を学びます。

「感情」は私たちが進化の過程で獲得した生存のためのメカニズムです。自分が生き残り、遺伝子を伝えるために重要なさまざまな刺激に反応し、衝動的な行動を促します。

例えば、こんな感じです。

刺激わき起こる感情促される衝動的な行動
草むらから蛇がいるような音がした(聴覚)恐怖草むらから離れる
おいしいピザの匂いがした(嗅覚)期待匂いのもとを探す
へびの恐怖

ところが、このような進化の過程で獲得した仕組みが、現代社会では、かえって不利になることがあります。進化は社会の変化と比べてゆっくりと進むので、衝動的な行動が今の社会に適合しないことがたくさんあるのです。

例えば、現代社会でも次のような衝動を感じる人がいます。

刺激わき起こる感情促される衝動的な行動
車の運転中、割込みされた(視覚)怒り順番を守らせる

私たちの感情が形作られた昔、私たちは少人数で狩猟採集生活を行っていました。順番を抜かされても黙っているような人は、いつも順番を抜かされて、食事を十分にできなかったでしょうし、結婚相手へのアピールもできなかったでしょう。したがって、生き残って遺伝子を将来に残すことができませんでした。今、生きている人類は、暴力を使ってでも自分の順番を主張することで生き残った人たちの子孫なのです。私たち全員に、そのような遺伝子が受け継がれています。

だから、たいていの人は、車の運転中に順番を抜かされると、怒りを感じます。暴力的な衝動を感じる人もいるでしょう。ところが、現代社会では相手の運転手に怒りを感じて暴力をふるっても、生存の機会は増えるどころか、ストレスを余分に感じたり、けがをしたり、犯罪者になったりして、子孫を残す機会が減ってしまいそうです。

感情は私たちにとって大切なものです。感情があるから、生存し、遺伝子を残そうとする行動を起こすのです。つまり、生きているわけです。感情は、意思決定に重要な役割を果たしています。また、感情には重要な情報が含まれています。[
自己認識
「自己認識(Self-awareness)」は、Google が開発した人材開発プログラム SIY (サーチ・インサイド・ユアセルフ)で学ぶエモーショナル・インテリジェンスの要素の一つです。文字通り、自分について認識することです。...
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感情は大切ですが、感情的な衝動には注意が必要です。現代社会では思わぬ失敗につながるからです。

以上のことから、自己管理の目的として、次の2つを挙げておきます。

  1. 衝動的な行動によって自分自身、あるいは周りの人を傷つけない。
  2. 困難な状況をうまく切り抜ける。

では、どのようにすれば、感情的な衝動をコントロールできるのでしょうか?

自己認識が基盤

感情をコントロールする方法の一つとして、たとえば「怒り」のようなネガティブな感情を、

  • 無かったことにする
  • 無視する
  • 抑え込む

という方法も考えられます。ところが、このような方法では、なかなかうまくいきません。

感情は、私たちの遺伝子に組み込まれていて、簡単に消すことができないからです。意識的に無視しようとしても、感情は無意識のうちに自分の行動を支配して、いつか爆発するかもしれません。

むしろ、自分にこのようなネガティブな感情があることを認識することが、感情をコントロールするために重要です。

すなわち、自己認識が自己管理の基盤になります。

そして、マインドフルネスが自己認識のためのツールとなります。

マインドフルネスとは、「今、ここ」で起こっていることに気が付くという意味です。マインドフルネス瞑想を通じて、五感や体の感覚、心の中で起こっている思考や感情に気が付くための実践を継続することによって、自己認識が深まり、自分の感情をコントロールしやすくなるのです。

自分の感情から来る衝動的な反応をコントロールするために、マインドフルネスの実践を通じて、自己認識を深めること、自分がどんな感情にふりまわされているかを認識することをお勧めします。

怒りを感じた時にどう対処するか

SIYでは、何かがきっかけになって怒りを感じた時の対処法として、SBNRRを学びます。SBNRRは、Stop, Breathe, Notice, Reflect, and Respond を略したものです。

Stop停止するやろうとしていること、言おうとしていることを停止する。
Breathe呼吸する呼吸に注意を向けて、心を落ち着ける。
Notice気づく自分の怒りの感情をありのままに観察する。
Reflect省みる現在の状況、感情から得られる情報を考える。
Respond対応するその時のベストな選択肢を選んで対処する。

簡単に言うと、「衝動的に行動してしまうのではなくて、ベストな選択肢を選んで行動しよう」ということです。詳しくは下のリンクをご参照ください。

ネガティブな感情が続いているとき

ずっと腹がたっているとか、自分を責めているなど、ネガティブな感情が長い間、継続しているときには、どのように対処すればよいでしょうか?

ネガティブな感情について、最終的な解決策は、「自分にはそういう感情がある」と認めて、受容するということです。

ところが、自分が怒りっぽい人間だとか、欲深い人間だとか、自分のネガティブな面を認めて、受け入れることは、難しいことです。

  • 「悪いのはあいつだ」
  • 「これは本来の自分ではないから」
  • 「これから頑張って悪い性格は直します」

などと考えて、自分のネガティブな感情を受け入れることができずに、さらに苦しむことがあります。

ネガティブな感情の受容のために役に立つのが、セルフコンパッション(自分への思いやり)です。

セルフコンパッションは、自分が親しい人にやさしくしてあげられるように、自分に対してやさしくする、という意味です。必ずしも、自分に甘くする、という意味ではありません。木にとまった小鳥を見るような目で自分自身を客観的に見ることによって、自分に対しても思いやりを持つことができます。

セルフコンパッションを研究する Kristin Neff 博士によると、セルフコンパッションには、次の3つの要素があるそうです。 1)https://self-compassion.org/the-three-elements-of-self-compassion-2/

自分へのやさしさセルフコンパッションは、自分が親しい人にやさしくしてあげられるように、自分に対してやさしくする、という意味です。私たちは、無意識のうちに「私はだめだ」と批判してしまうことがあります。自分自身を客観的に見ることによって、自分に対しても思いやりを持つことができます。
自分も人間であることを認める私たちは、「このようなつらい思いをしているのは、私だけだ」と思いがちですが、私たちが受け継いでいる遺伝子のほとんどは他の人と共通しています。他の人間も同様なネガティブな感情やつらい思いをしています。
マインドフルネスマインドフルネスは、「今、ここ」で起こっていることを価値判断することなく観察することです。マインドフルネスの実践により、自分の思考や感情も、ありのままに受け入れることを学びます。

セルフコンパッションを育成する方法の一つとして、「自分のことを大切に思ってくれている人が自分に手紙を書いてくれている」ことを想像して、自分自身に対して、手紙や電子メールを書いてみることをお勧めします。

セルフコンパッションについては、下のリンクもご参照ください。

まとめ

自己管理で特に重要なのは、自分の感情が引き起こす衝動的な行動を、うまくコントロールすることです。

そのためには、自分の感情をありのままに、価値判断することなく、理解し、受け入れることが大切です。マインドフルネスの実践が役に立ちます。

何かに怒りを感じた時、理性がもどってくるまで衝動的な行動をストップしましょう。落ち着いてから、ベストな選択肢を選んで行動します。

ずっとネガティブな感情が続いているときは、最終的な対策として、ネガティブな感情があることを受容するという方法があります。自分に対する思いやりを持つと、ネガティブな感情があることを受け入れやすくなります。

Google で開発された人材育成プログラム SIY(サーチ・インサイドユアセルフ)は、

  • エモーショナル・インテリジェンスによる理論
  • 脳科学による裏付け
  • マインドフルネスによる実践

に基づいて、参加者のエモーショナル・インテリジェンスの5つの要素を育成します。

  • 自己認識
  • 自己管理
  • モチベーション
  • 共感力
  • リーダーシップ

これによって、個人レベル、および組織レベルのリーダーシップ・生産性・幸福を向上します。

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