ストレスの原因とその対処

stress

ここでは、ストレスの原因とその対処をマインドフルネスの観点から説明します。

ストレスの原因

「戦うか、逃げるか」

マインドフルネスストレス低減法(MBSR) を開発した、ジョン・カバットジン博士によると、自分に危険が及ぶようなこと、あるいは、社会で自分の地位を脅かすようなことがあると、私たちは、ストレスを感じるそうです。

さらに、実際にはそのような危険がなくても、頭の中で想像するだけでも、ストレスを感じるそうです。

私たちの祖先は、自然の中で弱肉強食の生存競争をしてきました。

その進化の過程で、自分に危険が迫った場合には、「戦うか、逃げるか」を瞬時に決めて、身体全体を準備させる機能を備えてきたのです。

「戦うか、逃げるか」モードになると、ストレスホルモンが分泌され、交感神経が刺激されます。その結果、血圧や心拍数が上がり、気管が拡大します。こうして、筋肉に血や酸素を送って、命がけの戦いや逃走に備えます。

戦いや逃走のために激しい運動をすると、ストレスは発散されて、ストレスホルモンのレベルは下がります。リラックスモードに入ります。

現代に生きる私達の身体や心は、狩猟採集生活をしていたころから、ほとんど変わっていません。このようなストレスへの反応は、昔のままです。

ところが、現代の生活は、狩猟採集生活とは全く異なります。

現代の生活では、野獣との闘いがストレスになることはめったにありませんが、その一方で、会社の人間関係、住宅ローンなど、様々なストレスがあります。

現代のストレスの多くは、身体を張って戦ったり、走って逃げたりしても解決しません。ストレスホルモンはいつまでも分泌されて、イライラが継続、蓄積します。

要するに、人間の身体と心は原始人のままなのに、私たちの社会や生活が急に変わってしまったことがストレスのの原因です。ストレスは、現代に生きる人なら、誰にでも起こることなのです。

ストレスの元よりも、受け止め方が問題

専門的な言葉でいうと、ストレスの元はストレッサー、これへの反応のことをストレス反応といいます。

ストレッサーには、実は、さまざまな種類があります。

  • 物理的ストレッサー: 寒さ、暑さ、騒音、放射線など
  • 化学的ストレッサー: 薬物、化学物質など
  • 生理的ストレッサー: 炎症、感染、カビなど
  • 心理的ストレッサー: 怒り、緊張、不安、喪失など

このように、世の中には様々なストレッサーがあるので、ストレスを感じたとしても、その原因は一つだけはないかもしれません。通常はいくつかのストレッサーが複雑に絡み合っているものです。

このため、ストレスのもとを無くして対処しようとしても、うまくいきません。ある程度のストレスはモチベーションを保つために必要でもあります。

stress

ストレスのもとを特定してなくすことは、難しいですが、その一方で、ストレスへの反応は、受け止め方次第で変えることができます。

例えば、向こうから知っている人が歩いてきている時、自分の受け止め方次第で、無視されたと思って怒りを感じるかもしれませんし、ただ、気が付かなかっただけだと思って気に留めないかもしれません。

このストレッサーへの受け止め方を変えて、ストレスを軽減しようとするのがマインドフルネスストレス低減法(MBSR) です。

how-to-receive

ストレスへの対処

今、ストレスのせいでイライラしているときには、まず、やっていることをストップして、一息ついてから、次の行動を考えましょう。

詳しくは、「イライラしているときにやるべきことは?」の記事をご参照ください。

選択肢を考える

ストレスに対して対応方法を選ぶことができれば、それだけで、ストレスによる病気になりにくいことが、動物実験からわかっているそうです。

人間にもこれが当てはまります。

イライラするときには、今の自分にどんな選択肢があるのか、リストアップしてみましょう。その選択肢を知っていること自体がイライラを解消する一つの方法になります。

定期的な運動、気晴らし

もともとストレス反応は、戦いや逃走のための激しい運動に備えたものでした。実際に運動を行うことによって、ストレスレベルを下げることができます。

定期的な運動をすると、気晴らし、自信の回復などの効果があり、夜眠れるようになる効果も期待できます。ストレスを解消するには、最も効果的な方法だといえるでしょう。

運動は定期的に続けることが大切なので、無理のない範囲で、自分が続けられる運動を選びましょう。たとえば、散歩、ジョギング、水泳、自転車などの有酸素運動を、週に1・2回、20分から30分続けるところから始めてはどうでしょうか? 家族や友達と一緒に始めると続けやすいです。

その他、何か健康的な気晴らしになることをやってみるのもよいでしょう。家族やお友達とのおしゃべりや、リラクゼーションや健康的な趣味など、いかがでしょうか。

不健康な習慣を避ける

イライラする時には、気づかないまま、ストレスに対して不健康な対処をしてしまうことがあります。

不健康な対処の例として、

  • 働きすぎ
  • 過度な飲酒
  • 過食
  • 薬物、たばこ、カフェイン、砂糖への依存

などが挙げられます。

このような不健康な対処をすると、一時的に脳内で満足を感じる物質が出て、ストレスがなくなるように感じますが、この状態は長く続きません。

すぐにまたストレスを感じて、不健康な対処をもっと求めるようなります。

これを繰り返すうちに、不健康な対処が習慣化し、これに依存するようになります。そうすると、このような不健康な習慣自体がストレスの元になるという悪循環が起こします。依存症になって健康を損ねてしまうかもしれません。

自分がストレスを感じたときにどのような不健康な対処をする癖があるのか、把握しておくとよいでしょう。このためにも、マインドフルネスが役に立ちます。

マインドフルネスによる対処

マインドフルネスがどのようにイライラを防ぐか

マインドフルネスとは、「今、ここ」で起きていることに気が付いている状態のことを言います。例えば、次のようなことに気が付いている状態です。

  • 今の自分の身体にどんな感覚が起きているか?
  • 今の自分の心にどんな考えや感情が起きているか?

ストレスを感じているときには、どんな体の感覚があるか、どのような考えや感情が起こっているか、観察します。

そうすると、無意識にイライラしている時と比べて、問題に対して落ち着いて対処できるようになります。

さらに、不健康な習慣でストレスに対処しようとする時は、そのときの心の動きや感情に気が付いて、不健康な習慣に対して、意識的に対応できるようになってきます。

マインドフルネスは、自分へのやさしい気持ちや好奇心、他人への信頼、忍耐力を育てます。そうすると、困難な局面やストレスに直面した時の受け止め方が徐々に変わり、イライラしにくくなっていきます。

マインドフルネスを練習するには

マインドフルネスは、意識を「今、ここ」に向けることなので、実は簡単にできます。例えば、目を閉じて、呼吸を観察してみるとよいでしょう。

試しに、下の5分間の音声を聞いて呼吸の観察を試してみましょう。

マインドフルネス瞑想の記事には、座る瞑想や歩く瞑想などの説明がありますので、自分にあったものを試してみるとよいでしょう。

効果的にマインドフルネスを習得するためには、マインドフルネスストレス低減法 (MBSR) のプログラムに参加されることをお勧めします。

まとめ

ストレスを感じるのは、社会の変化が速すぎて、人間の進化が追い付かないから。

ストレスへの対策はいろいろありますが、マインドフルネスがお勧めです。

詳しくは、マインドフルネス瞑想のやり方のページをご参照ください。


出典:

  • Kabat-Zinn, J. 2013 Full Catastrophe Living
  • クリスチャン, D他. 2016 ビッグヒストリー:我々はどこからきてどこに行くのか