上司のエモーショナル・インテリジェンスが部下に与える影響

EI bossSIY

エモーショナル・インテリジェンス (EQ) とは、「自分や周りの人の感情に気がついて、そこから大切な情報を引き出し、自分の行動や考え方の指針とする能力」のことです。

頭のいい人、つまり IQ が高い人だからといって、必ずしもエモーショナル・インテリジェンス (EQ) が高いとは限りません。とはいえ、エモーショナル・インテリジェンスは、リーダーシップを発揮し、チームのパフォーマンスを上げて、心の健康を保つために重要な能力です。

Google が開発した人材育成プログラム SIY (サーチ・インサイド・ユアセルフ)では、このエモーショナル・インテリジェンスを向上する実践的な方法について学びます。

この記事では、職場の上司によるエモーショナル・インテリジェンスに基づく行動が、部下に与える影響について調べたイェール大学での研究をご紹介します。

上司のエモーショナル・インテリジェンスが部下にどのように影響するか、関心のある人に役立つ情報です。

Emotional Intelligence

実験で検証する仮定

  1. 管理者のエモーショナル・インテリジェンスに基づく行動により、従業員は成長の機会があるとより感じる。
  2. 管理者のエモーショナル・インテリジェンスに基づく行動により、従業員は仕事中、よりポジティブな感情を持つ。
  3. 管理者のエモーショナル・インテリジェンスに基づく行動は、従業員のクリエイティビティに影響がある。

実験の方法

アメリカの従業員 14,645 人に次のアンケートを行いました。

  • 上司のエモーショナル・インテリジェンス:直属の上司がエモーショナル・インテリジェンスに基づいた行動をしているかどうかについて、以下の質問に「強く同意する」から「まったく同意しない」まで、6段階の評価をしていただきます。
    • 「私の上司は、部下が仕事で不満を抱えていることに気がつくことができる。」
    • 「私の上司は、部下が仕事で不満を抱えているときに、生産的な変化をもたらすようなサポートをすることができる。」
    • 「私の上司は、職場における自分の判断や行動が、他の人の感情に影響を与えることを理解している。」
    • 「私の上司は、部下ががっかりしているときや怒っているときに、サポートするのが上手だ。」
  • 部下は成長の機会があると信じるか:部下としての自分が、職場で成長の機会があると感じているかどうか、以下のような質問に「強く同意する」から「まったく同意しない」まで、6段階の評価をしていただきます。
    • 「私には、新しいスキルを習得する機会がある。」
  • 部下はポジティブな感情を持つか:部下としての自分が、職場でポジティブな感情を感じているかどうかについて、次の質問をします。
    • 「過去6か月で自分の仕事についてどう感じましたか? 自分に与えられた業務と責任に関して、どのような感情を最も頻繁に感じましたか?」 質問に続いて3つの空欄が用意されます。
    • 過去3か月、職場での感じた23種類の感情について、0(全く感じなかった)から 100(いつも感じていた)まで数字で評価していただきます。
  • 部下にクリエイティビティがあるか:部下としての自分が、職場でクリエイティビティを発揮しているかに関して、以下のような質問に「まったくない」から「4回以上」までの5段階評価で答えていただきました。
    • 「私は目標達成のために独自の方法で貢献したことがある。」
    • 「頼まれなくても、生産性向上のための新しいアイデアを思いついたことがある。」

実験の結果

アンケートを分析した結果、次のことがわかりました。

  • 上司のエモーショナル・インテリジェンスと部下が成長の機会があると信じていることについて、高い相関がありました。( r = .57)  同様に、上司のエモーショナル・インテリジェンスと部下のポジティブな感情についても、高い相関がありました。( r =.58)
  • 特にエモーショナル・インテリジェンスが高い上位 25% の上司のみ抜き出して、部下が職場で感じている感情を見ると、「幸せ」などのポジティブな感情が頻出しました。頻出する感情表現30個のうち、19個 (63.3%) がポジティブな感情でした。その一方で、エモーショナル・インテリジェンスが特に低い下位 25% の上司のみを抜き出すと、部下が職場で感じている主な感情は、「イライラしている」「ストレスを感じる」「疲れている」など、ネガティブなものばかりでした。頻出する感情表現30個のうち21個 (70%) がネガティブなものでした。

これらの結果は、次の2つの仮定が正しいことを示します。

  1. 管理者のエモーショナル・インテリジェンスに基づく行動により、従業員は成長の機会があるとより感じる。
  2. 管理者のエモーショナル・インテリジェンスに基づく行動により、従業員は仕事中、よりポジティブな感情を持つ。
自己管理

次に、上司のエモーショナル・インテリジェンスと部下のクリエイティビティについて、下の図のようなプロセスがあると想定し、SPSS Process Macro (Model 6) という媒介分析の手法を使って、直接・間接の効果を分析しました。

この結果、上司のエモーショナル・インテリジェンスは、「部下が成長の機会があると信じていること」や「仕事中ポジティブな感情を持つこと」に影響があるだけではなく、「部下のクリエイティビティ」にも大きな影響があることがわかりました。

このことは、次の仮定も正しかったことを示します。

  1. 管理者のエモーショナル・インテリジェンスに基づく行動は、従業員のクリエイティビティに影響がある。

この実験からわかること

チームのメンバーがそれぞれクリエイティビティを発揮して、新しいアイデアを出したり、独自の方法でチームに貢献したりすることは、チームのパフォーマンス向上のために重要なことです。

また、チームのメンバーがそれぞれ成長の機会があると信じ、職場でポジティブな感情を持つことは、チームメンバーの幸せや、心の健康のためにも重要なことです。

そのような職場環境を作るためには、どうすればよいでしょうか?

エモーショナル・インテリジェンスが低い人ではなくて、高い人をチームリーダーにすればよいのです。

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ところが、成果を上げて昇進する人は、必ずしもエモーショナル・インテリジェンスが高いとは、限りません。エモーショナル・インテリジェンスが低い人がリーダーになると、本人もチームメンバーも苦しむことになるかもしれません。

その一方で、エモーショナル・インテリジェンスは、学んで身につけることができます。

新しくリーダーになった人が自己啓発のために、あるいは、新任管理職向けの研修として、エモーショナル・インテリジェンスを学ぶことをおすすめします。


Google で開発された人材育成プログラム SIY(サーチ・インサイドユアセルフ)は、

  • エモーショナル・インテリジェンスによる理論
  • 脳科学による裏付け
  • マインドフルネスによる実践

に基づいて、参加者のエモーショナル・インテリジェンスの5つの要素を育成します。

  • 自己認識
  • 自己管理
  • モチベーション
  • 共感力
  • リーダーシップ

これによって、個人レベル、および組織レベルのリーダーシップ・生産性・幸福を向上します。

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