人と接する仕事では、相手の機嫌をとったり、契約してもらうために、思ってもいないことを言ってしまうことがありますね。
たとえば、
「こちらの服がお似合いですね!」
「こちらの商品の方がお得です!」
このように対人関係で「うわべだけの行動」をとると、心に負担がかかります。嘘をついているような気持ちになり、良好な人間関係を作ることを妨げます。
その結果、心労が重なったり、仕事がいやになったりすることがあります。
マインドフルネスが、このような状況で役に立つでしょうか?
オランダのマーストリヒト大学で行われた実験を紹介します。
実験1
病院、学校、店舗、役場の窓口、福祉施設、幼稚園など、人と接する仕事をしている人に、5日間続けて1日に2回、以下について、記録してもらいます。
- 仕事が終わった直後:
- その日、仕事中、マインドフルに過ごせたか
- その日、仕事中、「うわべだけの行動」をとったか
- 寝る前:
- 心労の程度について
- 仕事への満足度について
実験1の結果
実験1の結果、以下のことがわかりました。
- マインドフルな傾向が強い人ほど、心労が少なく、仕事への満足度が高いこと
- 同じ人でも、マインドフルに過ごせた日は、より心労が少なく、仕事への満足度が高いこと
それから、マインドフルに過ごして、心労が少なく、仕事への満足度が高い人ほど、「うわべだけの行動」が少なかったです。
実験2
次に、実験1とは別に参加者を募り、 人に接する仕事をしている人を、2つのグループにランダムに分けました。
マインドフルネス実践グループ | 実験に先立って、マインドフルネスの実践を2週間続けて実施する。マインドフルネスの実践は、MBSR で行われるものを簡略化したもの。 |
比較グループ | マインドフルネスの実践は行わない。比較のためのグループ。 |
この2つのグループの参加者に、実験1と同じように、5日間、毎日2回、以下のことを記録してもらいます。
- 仕事が終わった直後:
- その日、仕事中、マインドフルに過ごせたか
- その日、仕事中、「うわべだけの行動」をとったか
- 寝る前:
- 心労の程度について
- 仕事への満足度について
実験2の結果
マインドフルネスの実践をしたグループの方が、比較グループと比べて、よりマインドフルに過ごすことができて、心労も少なく、仕事への満足度も高かったことがわかりました。
また、マインドフルに過ごすことができて、心労も少なく、仕事の満足度も高かったときは、「うわべだけの行動」も少なかったこともわかりました。
実験から言えること
人と接する仕事をする人は、マインドフルネスに過ごすことができれば、 人に対して「うわべだけの行動」をとることが少なくなり、その結果、心労が減り、仕事の満足度も高くなります。
もともとマインドフルな人でも、マインドフルに過ごせる日とそうでない日があります。心労の具合や仕事の満足度はその日のマインドフルネスの度合いによって変わります。
また、マインドフルネスは、実践によって鍛えることができるものです。
人と接することが多い仕事をしている人は、マインドフルネスのプログラムを試してみるといいですね。
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