狩猟採集民が50人程度の部族で暮らす理由

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私たちの体や心の基本的な仕組みは、進化の過程で出来たものです。

ただし、現代社会に適応している、というわけではありません。人類の進化の歴史のほとんどは、狩猟採集生活をしていた時代に起こったので、人類は、主に狩猟採集生活に適応しています。

例えば、狩猟採集生活では、50人程度の小さな集団で一生を過ごします。人間関係は濃密で、狩りや子育てを助け合って行います。そのような環境に適応した人の心は、現代の生活で生きづらさを感じることがあります。現代の生活では、とても多くの人との希薄な人間関係に対処しなければならないからです。

自分は、狩猟採集民が50人程度の少人数の部族で暮らすのは、なぜだろう、と以前から疑問に思っていました。

最近読んだ進化心理学の本にその答えがありました。

人類学の分野では、なぜ狩猟採集民は、時代や地域による違いはあるが一般的に50名程度のバンドや村落にわかれているのかという問題が、基本的な疑問の一つになっている。ナポレオン・チャグノンは、アマゾンの多雨林で狩猟採集および食物栽培をいとなむヤノマモ族という部族を30年にわたって研究し、何千人にもおよぶ家系のつながりを綿密に調べ、血族関係が村を一つにまとめる絆になっていることをあきらかにした。血縁者どうしは争うことが少なく、争いのときに助け合うことが多い。彼らは村の人口が増えて、住民の血縁関係がうすくなり、互いの気に障ることが多くなると分裂をする。争いが起こり、血統に従って敵と味方に別れ、一派が近縁者とともに荒々しく飛び出して新しい村落を作るのである。

スティーブン・ピンカー著「心の仕組み(下)」p21

なぜ、血縁者同士で協力しようとするのか、というと、これも、進化の仕組みによるものです。

血縁者を利する行動(たとえば養育や保護)をさせる遺伝子は、自分のコピーを利する見込みが高い。したがって血縁者を助ける遺伝子は、世代を重ねるにつれて集団の中で増加する。

スティーブン・ピンカー著「心の仕組み(下)」p13

50人程度の親戚一族で一緒に狩りをしたり、子育てをしたり、時には隣の部族と戦争をしたり、という人生は大変だったでしょうけど、充実した人生だったでしょうね。

もちろん、現代の清潔、快適、安全、自由な生活から戻ることはできませんが。

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この記事を書いた人
しげき

1963年生まれ。大阪市出身。京都大学法学部卒。KDDIやマイクロソフトなど、30年以上、IT業界で営業・マーケティングを担当した。
2007年からマインドフルネス瞑想を継続して実践する。
2018年にセミリタイアし、マインドフルネスの講師となる。MBSR認定講師。SIY認定講師。

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